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こんにちは。心臓リハビリテーション室の赤阪です。
当院の心臓リハビリテーションではリハビリを実施されている患者様に対して、健康のための情報やトピックスをホワイトボードを利用してお伝えしています
今回は心リハ通信第27号を紹介したいと思います。
今年も暑くなってきましたが、いかがお過ごしでしょうか?
今年は例年よりも早い梅雨明けとなり本格的な夏になってきました。
そこで意識しないといけないのが水分補給です。
病気がなく健康な方であれば、特に水分量を気にすることなくしっかり飲んで頂けたら良いかと思います。
しかし心臓病を患っている方はそう簡単にはいきません。
なぜなら、心臓病の方(特に「心不全」を発症された方)は水分を摂りすぎると身体が浮腫んでしまい、心不全を悪化させることもあります。
かといって水分を摂らないとこの時期は「熱中症」の危険もあります。
以上のことから、心臓病の方はどれくらい飲んで良いのか悩んでしまうのではないでしょうか?
原則1000ml~1500ml
心不全診療ガイドラインでは「代償期の心不全における1日水分摂取量1000ml~1500mlを目標とした水分制限を弱く推奨する」としています。「代償期」とは「特に症状もなく安定している」ことを指します。
最近、海外の研究で「水分制限をしてもしなくてもそれほど変わりない」といった報告もありました。
そのため、今後はガイドラインも変わっていく可能性があります。
「原則」としたのは、心不全の状態は個人によって違いあるからです。
身体がすぐに浮腫み、体重が増え、息切れを感じる人は医師をはじめ医療スタッフに相談しながら水分摂取量を調整していきましょう。
毎日体重測定をしましょう。
心臓病の方は毎日の体重測定がおすすめです。
毎日体重測定をしておくと、急に体重が増えてくることに気付けます。もし前日よりも体重が極端に増えている場合は水分を飲み過ぎていた可能性があり、水分量を調節することができます。
水分不足のサイン
熱中症にならないようにするためには事前に水分不足のサインを知っておくと安心です。
皮膚や舌が乾燥
高齢者の方はもともと脱水気味で乾燥しているため確認が難しいですが、普段の皮膚の状態を見ておくと良いかと思います
血圧が下がる
脱水になると血管内の水分量が減り、圧力が下がり血圧が下がります。
尿の量が少なくなり、色が濃くなる
脱水になると体内の水分量を維持するために身体から出る水分を減らそうとします。
量が少ないことで濃縮され色が濃くなります。
排尿のたびに尿の観察をしておくこともおすすめです。
めまいがする
血圧が下がり立ち眩みを起こしやすくなります。
これらのサインは他の病気などの影響でも起こりますが、夏場に起きている時は水分不足の可能性が高いと思っても良いかもしれません。
水分補給のポイント
こまめな水分補給を心がける
一度に大量に摂取すると、体液が一気に増加することで心臓へ負担がかかり、心不全が悪化する可能性があります。
そのため「少量頻回」で摂取することをおすすめします。
スポーツドリンクや経口補水液は常飲しない
これからの時期はテレビCM等で宣伝される機会が増えてきますが、これらの飲料は糖分や塩分が沢山入っているため、心臓病や糖尿病など持病がある人は注意が必要です。
炎天下で長時間作業したり、スポーツをして沢山汗をかいた後は摂取しても良いですが、一日を通して水分補給として摂取する必要はありません。
基本的には水分補給は「水かお茶」で十分です。
夏場の塩分摂取について
「夏は塩分を摂らないと!!」と思われるかもしれませんが、あえて摂取する必要はありません。
この図のように元々、日本人は男女共に目標の摂取量より3g程度多く摂取しているというデータがあります。
また世界的に見ても日本人は多く摂取しているそうです。
日本の食生活を思い浮かべると塩分摂取が多いのは想像できます。
以上より食事を普段通り食べれている場合は、夏場だからといって塩分を摂取する必要はありません。
心臓病の方でも安定している人であれば、水分量を気にすることなくこまめに摂取してください。しかし普段の体重や症状を確認しながら、ご自身にとって適切な水分量を決めていくようにしてください。
本日は以上です。